【速報】「ガンダム Gのレコンギスタ」富野由悠季監督ロングインタビュー!!「僕は『ガンダム』を創りたいわけじゃない」 出演交渉中の謎のキャストとは!? 太田多門による漫画版が月刊ガンダムエース2014年10月号より連載開始!! 上映劇場にてガンダム35周年記念ブック「GUNDAM 35th ANNIVERSARY BOOK YOSHIYUKI TOMINO 1979-2014」限定販売決定!!
http://randal.blog91.fc2.com/blog-entry-2398.html
月刊ガンダムエース2014年9月号
「ガンダム Gのレコンギスタ」
富野由悠季監督ロングインタビュー(カラー5ページ/6000文字超え)
ガンダムを創った富野由悠季が今、「G-レコ」を送り出す意味 要約版
□宇宙世紀の終焉から千年 再メッキされた世界 リギルド・センチュリー
――軌道エレベータを舞台にしたきっかけは宇宙エレベーター協会の方とお会いしたことですか?
富野:違います。まったくの逆です。生きているうちにもう1本くらい何かを創りたいと思って企画を始めたわけだけど、3年間考えて、「ガンダム」の延長線上のものしか描けない自分に気付いてしまったんです。だいたい3年くらいです。考えてはみるものの、どうやら自分の想像力だけでは突破できそうにないと思った。それで仕方がないから、僕が一番嫌いな宇宙エレベータ(軌道エレベータ)を題材にして、企画を練り直すことにしたんです。(中略)想像でできないのであれば、リアリズムで人と話をすればいい。日本宇宙エレベーター協会の青木義男先生(日本大学教授)や協会のメンバーと接触して話を聞くうちに、現在の宇宙エレベータを取り巻く状況も分かってきた。アイデアも膨らんできたところで企画を書き直し、1年をかけて今回の原型になるものがようやく出来上がったわけです。
――それがキャラホビ(2011年)などの、2年前くらいのことなわけですね。
富野:宇宙エレベータがあり、巨大ロボットがいて、なおかつ僕の場合はどうしても“G”という言葉を求められるから、それらを満たすSFワールドの設定には相当苦労しました。(中略)「G-レコ」の世界であるリギルド・センチュリーという世紀が生まれたのは、それらの対する整合性のためとだけは言っておきます。
――「ガンダム Gのレコンギスタ」というタイトルには、どのような想いを込められているのでしょう?
富野:「レコンギスタ」の語源はスペイン語の「レコンキスタ」です。(中略)正確な翻訳は知りません。(中略)基本的に“復権”ということで十分です。つまり「ガンダム Gのレコンギスタ」は、宇宙世紀の終焉で崩壊した地球圏を復権する。そういう意味を持ったタイトルです。もちろん、タイトルの意味はそれだけではありませんが。
――では、リギルド・センチュリーの意味は?
富野:「リギルド」は、再鍍金(さいめっき)という意味を持つ言葉です。リギルド・センチュリーは宇宙世紀から千年後の、メッキし直された世紀ということです。
――宇宙世紀からリギルド・センチュリーには、どのように切り替わっていったのですか?
富野:宇宙世紀がいつ終わり、その最期に何が起こったのか。そんなことは僕は知りません。(後略)
――リギルド・センチュリーには、「宇宙世紀時代の技術体系を進歩させてはならない」というタブーが設定されています。宇宙世紀では核問題も描かれましたが……。
富野:核エネルギーなどは徹底的に全否定です。核に限らず、科学技術の進歩は消費の促進でもあり、そういう意味で、宇宙世紀は地球の資源を徹底的に消耗し尽くした時代なんですよ。枯渇した地球で人類の大半は死に絶え、生き残ったわずかな人間たちが地上で復興を果たすまでに、千年もの年月が費やされたんです。つまりリギルド・センチュリーは、宇宙世紀のなれの果てであるんです。
――物語が地球から始まるのはそういった理由からですか。宇宙世紀時代にあったスペースコロニーは……。
富野:全部ゴミです。ただ、そのゴミを再生して新たなコロニーを作り、何とか生き残った人間たちがいたのです。それが月の裏側に建造されたコロニー、トワサンガと、金星のビーナス・グロゥブをこの千年で構築した。
□宇宙エレベータが地球と宇宙をつなぐ意味を考える
――これが宇宙エレベータのカーゴですよね? なぜこんな串団子のような形状をしているのですか?
富野:(前略)これは球体の連結です。球体というのは工学的に見て、外力に対してもっとも頑丈で効率がいい形。それが車両形式で連結し、“クラウン”と呼ばれるカーゴを形成しているんです。「G-レコ」では宇宙エレベータのことをキャピタル・タワーと呼称していますが、これは宇宙に行くための手段ではなく、地球と宇宙を結ぶ交通機関です。交通機関として使われるものだから、必然的にカーゴも効率のいい車両形式になるわけです。さらに交通機関として千年間利用されているということは、宇宙と地球を行き来する意味があるということです。
――資源の獲得ですか?
富野:(前略)よしんば月からレアメタルの採取に成功したとしても、現在の科学技術ではそれを安定ラインに乗せ、地球に運搬するには途方もないコストがかかり、成果に対してとてもではないがコストパフォーマンスが釣り合わない。つまり、宇宙開発などする意味がないということです。なので「G-レコ」では宇宙に行く意味と、それを可能にするエネルギー源を設定しました。
――それがフォトン・バッテリー?
富野:そうです。これ(手帳)くらいのサイズで、ガンダムレベルのモビルスーツを一週間は稼動させることができるエネルギー源です。これは宇宙空間でしか生成できないもので、その技術を持っているのが、生き残った宇宙移民者たちです。彼らは自分たちが生き延びるために、地球にフォトン・バッテリーのエネルギーを使ってキャピタル・タワーを稼動させ、物資を送り込む。もちろん、こんなエネルギー源は現実に存在しませんが、それでいいんです。「G-レコ」はファンタジーなんです。僕は「G-レコ」をリアルだとか、リアルロボットだなんて言ったことは一度もありません。「ハリー・ポッター」を観て、空を飛んでいるのがおかしいなんて言いますか? ファンタジーなんだから、おもしろければいい。それがすべてです。
□僕は「ガンダム」を創りたいわけじゃない
――「G-レコ」公式サイトには、「元気のGだ! ベルリとアイーダの冒険はすごいぞ!!」というキャッチコピーがありました。この“冒険”というコピーからはワクワクさせる、今までの「ガンダム」とは違うものを感じました。
富野:だから言ってるじゃないですか。僕は「ガンダム」を創りたいわけじゃないんだから。「ガンダム」を継承していたら、“冒険”なんてできません。(中略)今でなくてもいいんです。「G-レコ」を観た子供たちが大人になったとき、「ガンダム」に疑問を持ってくれればいい。「G-レコ」はそのための、脱ガンダムにつなげるための布石となる作品なんですよ。
□ベルリ少年とアイーダお姉さん 「G-レコ」は女性主導の物語?
――過去、ニュータイプエースのインタビューにて、「G-レコ」では女性の強さも描くとおっしゃっていました。そこの部分も変わらず、という感じでしょうか?
富野:今まさに制作の真っ最中ですが、アイーダというキャラクターははっきりと動き始めているので、間違いなく女性主導に見えるでしょう。と同時に、周りに配置したキャラクターの配分からも、女性主導の匂いが伝わると思っています。基本的に人の世というのは、女性が子を産んでくれることで継承されていくもので、男性はその支え――言ってしまえば付属物でしかない。だけど、知的な動物であるこの付属物は、自分が“雄”であることを認識し、“雌”をどう守るか、“子”をどう守るかという考えから、衣食住の確保において体を張った行動を示すようになっていった。だから、ベルリも成長していく過程で“雄”としての自分を自覚して、本能で女たちを守っていく男として育てていきたいと思っています。ただし、“雄”の感覚で作られた男社会が宇宙世紀時代に人類を破滅させたのは事実です。そこのところをアイーダや他のキャラクターたちでバランスを取っていく必要があると考えています。
(ここから約1ページにわたってキャラクター形成論が続くので、まるまる割愛します)
□出演交渉中の謎のキャスト
――キャラクターの実在感には、声の力も大切ではないでしょうか?
富野:そうですね。そういう意味で、今回非常におもしろい声の人に出会っています。実際にその方の出演が叶うかどうか、現時点ではまだ分からないんだけど、この人の声を当てたいという役があるんです。この35年間で聴いたことがないような声の持ち主で、もし出演してもらえたら、傑出したバイプレイヤーが誕生するだろうという期待を持っています。この感覚を分かりやすく言うと、池田秀一の声でシャアをやったとき、古谷徹の声でアムロをやったとき、その感覚ですね。叶うといいな、と思っています。
□対象を見る目線 新しいものを創る意味
――モビルスーツのデザインがまた独特ですが、これはどのように決められていったのですか?
富野:これはものすごく明快です。カトキ(ハジメ)さん以降のガンダム世代後発組から、ようやく形部(一平)さんのような新しいメカデザイナーが出てきたということです。これだけで新しい方向性が作れたとは言いませんが、20年間抱えていた問題を少しは解消できたと思うし、少なくともこれからの道筋は示せたと思います。今回のモビルスーツのデザインは、フォトン・バッテリーの採用から発展した部分もあります。形部さんがフォトン・バッテリーを非常におもしろがってくれて、本当に自由にデザインしてくれた。(中略)山根(公利)さんも安田(朗)さんも同様です。ガンダム以降のバリエーションを広げるという作業を、本当に楽しみながら考えてくれている。オモチャとしてのルックスになってきていて、まさに子供がワクワクするロボットを生み出せていると感じています。
もちろんそれによって理屈ではおかしな部分も出てきてはいるんだけど、そこは笑って知らん顔するしかない。何しろ必殺武器があるようなロボットアニメなんだから、「いいよ、やっちまえ!」って。芸能者として最低のところに落ちるわけだけど、僕はそれでいいと思っています。そうしないと、どんどん堅苦しい作品になっていくしかないんだから。実を言うと、メカだけでなく、舞台においても、すでに整合性のほころびは生まれています。だけどね、「うるせえ! これはロボットアニメなんだから、黙れ!!」ってことです。僕はそう言う覚悟を決めているし、不都合が許せなかったら、この35年間やられてきたように、あとの人たちがきれいにバランスを取っていけばいい。
――確かに「機動戦士ガンダム」から35年、いろんな人たちが宇宙世紀の歴史を整理してきました。
富野:僕はそれで新しいものが創れるとは思っていませんが、やりたい人はやればいい。ひとつだけ言っておくと、そのとき大事にすべきことは、相手となる世代の目線をしっかり知ることです。(中略)「G-レコ」は子供に観てもらいたい作品ですが、子供アニメにしているつもりはありません。アニメを創るなら、“最低、これくらいのことは考えてから創れ”ということを並べています。そうでなければ新しいものを創る意味はない。そういうことを考えながら創っている自分は、つくづくクリエイティブな仕事が好きなんだな、と実感しました(笑)。(後略)
□上映劇場にてガンダム35周年記念ブック限定販売!
「GUNDAM 35th ANNIVERSARY BOOK YOSHIYUKI TOMINO 1979-2014」
「機動戦士ガンダム」から「∀ガンダム」まで、富野ガンダムを振り返る記念ブックを上映劇場で販売。「G-レコ」パートでは富野由悠季アイデアの変遷を辿る設定資料を公開。表紙は安田朗描き下ろし!
□太田多門によりコミカライズ次号開始!!
「ガンダム Gのレコンギスタ」
宇宙世紀を乗り越えた、リギルド・センチュリー
ベルリ…、ベル
私たちは生き永らえたの
だから未来を豊かにする
あなたならそれができる
ベル、立ちなさい
私と――…ベル!
懒得看那么多字的看上面那楼摘要