http://randal.blog91.fc2.com/blog-entry-2448.html
■【速報】ロフトプラスワン「ロボットアニメナイト! 略してR・A・N! 1号機大地に立つ!」レポート! 「ガンダム Gのレコンギスタ」小形尚弘プロデューサー、再放送枠獲得に意欲!「今やってる枠以外にも積極的にやっていこうと思ってますし、やっぱり子供がちゃんと観られる枠で流したい、というのはあります」
□ロボットアニメナイト! 略してR・A・N! 1号機大地に立つ!
▽日時
10月28日(火)
▽場所
新宿ロフトプラスワン
▽出演
喜屋武ちあき(アニメ大好きアイドル)
若井おさむ(アムロ芸人)
▽ゲスト
小形尚弘(「ガンダム Gのレコンギスタ」プロデューサー)
石脇剛(「月刊ガンダムエース」編集長)
▽「ガンダム Gのレコンギスタ」の視聴率
石脇:視聴率、高いですよね?
小形:視聴率…、高かったり、低かったり。
喜屋武:ええっ!? ホントに!?
小形:バレーボールの影響(放送開始時刻が遅れた)で…。そのあと上がって、関西が下がったり、なんかよくわからないというか、はい。なぜか関西は視聴率分布表を見ると、40代女性がすごく…(多い)。
喜屋武・若井:ええ~っ!?
小形:バレーボールの後やってたから(そのまま視聴した人が多かった?)かな~と。
喜屋武:そんなことあるんですね。
▽宇宙エレベーターがある場所
小形:ブラジルのジャブローがあった場所…。
若井:ジャブローがあった場所ですよね!
喜屋武:宇宙エレベーターを建てられるのって、あの場所しかないんですよね?
小形:「機動戦士ガンダム00」でもあったんですけど、(地球上の)何箇所しか置けないんですよ、地球の自転の問題とかで。その一つがブラジルの奥地で、他にも何箇所かある…、あったんじゃないのかな?ってのが、「G-レコ」の世界。残ったのが、あそこだけで。
喜屋武:そこを含めて、もう物語が…。
▽「G-レコ」の古典的演出
若井:モビルスーツの登場にびっくりしたヘビが模様を残して、逃げていくっていうのを…。
小形:今回も。
喜屋武:あれ、古典的手法じゃないですか。第1話でも、アイーダとベルリが初めて出会ったとき、アイーダがキラキラ輝く演出とか…。
小形:はいはい。
喜屋武:最近のアニメじゃ見られない手法で…。
小形:動物のときも、絵コンテで(古典的演出が)いっぱいあったので、「富野さん、これ半分ぐらいにしたほうがいいんじゃないですか?」と言ったら、「いや、これでいいんだ」と。
喜屋武:ええ!? そうなんですか!?
小形:あれって、安彦(良和)さんが息抜きの一環というか…。
若井:へえ~! そうなんですか!
小形:普通に描いていると、どうしても肩が凝るんで、ちょっと漫画的な手法で描きたいというので、ああいうヘビが模様残して…みたいなやつをやってたんですけど。
喜屋武:手塚(治虫)的というか…。
小形:そうですね。
石脇:虫プロ的。
喜屋武:そうですよね! そんな感じがしますよね。
小形:今回、富野さんはわざとファーストガンダムの印象を、思い出しながら入れてる。
若井:へえ~!
喜屋武:それは何か意図があるんですか?
小形:もうすぐ死んじゃうのかなって(笑)(あくまで冗談っぽく)。
喜屋武:やだあ!!!!
(観客、爆笑)
喜屋武:いや、申し訳ないですけど、今の富野さん、元気すぎる!(笑)
小形:だって、来週で73(歳)ですから。
喜屋武:今から富野さんの誕生パーティ準備しましょう! お祝いしたいよお!
(観客、爆笑)
▽富野由悠季監督の仕事ぶり
小形:僕より働いているんで。
喜屋武:小形さんよりも?
小形:もう全然。働いてます。いつもスタジオに午前11時ぐらいに入って…。
喜屋武:「G-レコ」のブルーレイ(ドキュメンタリーBlu-ray「BEGINNING of GUNDAM RECONGUISTA in G ~富野由悠季から君へ~」)でも、富野さんが「おはよう!おはよう!」って部屋に入っていくんだけど、(一番乗りだから)誰もいないんですよね(笑)。
小形:そうそう。誰もいない(笑)。
石脇:一番乗りだから(笑)。
若井:あはは(笑)。
小形:で、昼ご飯を食べに行って、帰ってきてまた仕事して、夕方ちょこっとお昼寝するんですよ、1時間くらい。
喜屋武:かわいい(笑)。
小形:またそこから、夜まで働く。
喜屋武:富野さんって、昔からすごい働いている方ってイメージありましたけど、御歳73ですからね…。
小形:夜中の2時、3時まで平気でやってますからね。
喜屋武:ええ!?
小形:でも平気じゃないみたい。最近はさすがにくたびれてきて、見てると、「ああ、そうだ。お爺ちゃんなんだよな。優しくしないといけないな」と思うときが…。
喜屋武:うふふ(笑)。
▽富野由悠季監督に怒られて…
喜屋武:私とか若井さんは、富野さんを崇めている人間で、もう「富野さんLOVE!」みたいな感じなんですけど、小形さんはどういうお気持ちなんですか?
小形:そうですね…。あんまり近くで崇めちゃうと、本人ちょっと調子に乗るところもありますので…。
(観客、爆笑)
喜屋武:あはは!(笑)
小形:逆に、(富野監督が)怒るんですよ。距離感とか出来ちゃって。僕は付かず離れずというか、あんまり近くに寄ってしまってはだめなんで。よく怒られますよ、富野さんに。ブルーレイ(ドキュメンタリーBlu-ray「BEGINNING of GUNDAM RECONGUISTA in G ~富野由悠季から君へ~」)でも、うちの部下の女の子がめちゃ怒られてましたけど、あれはあの子が悪いんじゃなくて、演出(の人)がいけなくて、代わりに怒られてたんですけど、やっぱり、ここ1年ぐらいスタジオで実制作に入ってから、テンションが高まってきたのか、ときどき、すごい怒りますね。
喜屋武:へえ~。でも富野さんに怒られるって、ものすごいステークスですから。
小形:みんな、始めはそう言うんですけど、実際怒られると、みんなスーッといなくなっていくんです。
(観客、爆笑)
喜屋武:あはは!(笑)
小形:演出さんとか作画さんとか、「一度は富野さんに怒られたいな、叱られたいな」って来るんですけど、実際怒られると、みんなドン引きしちゃって、次(の仕事)やってもらえなくなるとか、そんな感じなんです。
若井:雰囲気的に「これはヤバイぞ」みたいな?
小形:ヤバイどころか、僕のところ(席)から富野さんのところって離れているんですけど、破裂音が聞こえてくるんですよ。
喜屋武:破裂音?
小形:「あっ、なんか聞こえてたな」と思ったら、富野さんが怒鳴ってる。
喜屋武・若井:うええ!!
小形:よくそんな(大きな)声が出るなと。
▽モビルスーツにトイレが付いた理由
小形:今回、モビルスーツにトイレが付いた理由は、富野さんが高齢になりまして、若干頻尿気味になってしまって…。
(観客、爆笑)
喜屋武:はい。
小形:夜になるとどうしても目が覚めちゃうらしいんです。トイレに行ってもすぐ起きちゃうんで、これはトイレがそばにないとやっていけないなと。自分がモビルスーツに乗ったら、近くにトイレがないと安心して戦えないと。
(観客、爆笑)
若井:へえ~! すごい話。
喜屋武:今回、コクピットの座席開けたらトイレじゃないですか? あんなことあり得ます?
小形:富野さん的には、モビルスーツが宇宙に放り出されて1週間、2週間(モビルスーツ内に)いなくちゃいけない状態を想定してトイレを作ったらしいです。
喜屋武:あれ、地上だからいいですけど、宇宙に出たら(糞尿が)ふわふら浮いちゃって、それどころじゃないですよね?
小形:一応、そういう状態でも(バキューム機能で)吸い込めるように、音にもこだわったんですけど。
喜屋武:音!? ああ! 吸い込む力があるよってことですね。なるほど!
▽「G-レコ」の世界では、女の子の前でウンチをしても恥ずかしくない?
喜屋武:まだ観てない方、第3話でこういう描写(トイレのシーン)が2回も出てきますからね。
石脇:クリムがね。
喜屋武:まだクリムだけだったらいいんだけど、主人公が…(笑)。
石脇:主人公が…。
喜屋武:ベルリがう~んって(いきんでますから)。
石脇:女の子2人(アイーダとラライヤ)乗せてるのにね。目の前で。
喜屋武:どんだけ羞恥心ないのかなと思って。
小形:一応あれは、そういうことをしても、あんまり恥ずかしくない世界観なんですって。
若井:へえ~!
小形:富野さん、いろんな本を読むんですね。話を創るときに。あの話を出てきたのは、江戸時代の本を読んでいたら、江戸時代は今より風俗的な事情がゆるかったと。混浴とか全然あって、トイレ事情ももっとゆるかった。それが今みたいに恥ずかしいことになってきたのは、明治、大正時代に西洋文明が入ってきたからそうなったんだと。で、「G-レコ」の世界というのは、一度宇宙世紀で人類が滅びかけて、生きることに必死になっているから、まずはそれに対しての危機感しか生まれなくて、恥ずかしいとか、そういう概念は西暦の時代よりは若干薄まっていると。そういう設定が一応あるんですけど、そんなこと(劇中で)何も言わないから、みんなわからないでしょうけれども(笑)。
(観客、爆笑)
▽富野由悠季監督は、子供が「G-レコ」を一度観ただけでは、理解できないことを自覚している
小形:富野さん、「G-レコ」のことを「子供に観てほしい」とか「子供向け」とかよく言っているんですけど、今回、たぶん1回観ただけじゃ、あんまり(意味が)わからないんじゃないか、と本人も自覚してて。いろんなものを散りばめているので、トイレの話とか、「なんかおかしいぞ!?」って思ってもらうことが重要で、それでひっかかって(興味をもって)くれた子供が、何年か経って観返すとだんだんわかってくるような仕掛けになっているはずなんです。
若井:もともとファーストガンダムもそうだったですよね。
小形:はい。
若井:(設定や物語が)わからなくてもかっこええ、と。でも、理解できなくても、話の続きが観たくて。おもろかったなあと。で、大人になってもう1回観たら、こんな話やったんか!と。
▽小形尚弘と富野由悠季の出会い
小形:サンライズの3スタで「機動戦士ガンダム/第08MS小隊」をやったんですけど、OVAって大変で、スタジオが死んだような雰囲気になっていて、「こりゃいかんな」と。で、「僕、TV(作品)やりたいんですけど」と(上層部に)言ったら、「じゃあ、次、1スタで『ブレンパワード』やるから行け!」と言われて、そこで僕と富野さんが第12話…第12話の演出が突然いなくなって(笑)、監督の富野さんが自分でやるというので、一緒にやったんです。それで仲良くなって。
喜屋武:へえ~!! でもプロデューサーの立場で演出をやるってことあるんですか?
小形:いえ、そのときはまだ制作進行のペーペーでしたので。
喜屋武:なるほど!
小形:あの当時から、富野さんが朝の3時、4時までチェックしているのを待って、一緒に帰るんですけど、僕が昼ぐらいに出社すると、もう富野さんは働いているんです。
喜屋武:働きすぎですよ!
小形:「この人、なんて凄いんだ!」と思ったんですけど、富野さんに言わせると「手塚(治虫)先生はもっと働いていた」と。
喜屋武:はああ(感服して溜息)。
小形:でも手塚先生、若くして亡くなっているから、あんまり(働きすぎるのも)アレなんですけど。
喜屋武:心配!
小形:それがきっかけで、富野さんとは仲良くさせてもらってるんですけど。
石脇:それが最初の接点だったの?
小形:そうです。その後「∀ガンダム」も一緒にやって。プロデューサーになってからは「機動戦士ガンダムUC」が始まったときと同時に「G-レコ」の企画もやっていて、今に至ると。
▽小形尚弘プロデューサーはサンライズ社内で危うい立場!?
小形:僕、「機動戦士ガンダムUC」で結構な赤字出して、(サンライズ)社内で立場危ういんで(笑)。
喜屋武・若井:ええ~~~!!
(観客、大爆笑)
喜屋武:赤字!?
小形:製作赤字、結構出してるんで。
喜屋武:ええ!? 全体でも!?
小形:いや、全体はすごく儲かってますけど(笑)、僕個人としては追い詰められてて(笑)。だから、ちょっとそっとのことでは大丈夫です(笑)。
喜屋武:(「機動戦士ガンダムUC」を)気合入れて作りすぎなんですよ!(笑)
▽マニィたちはなぜマスクの正体に気付かない?
喜屋武:あれ、どうみても彼(マスク)が誰だかわかるじゃないですか。
小形:(ネットでは)「クンタラ仮面」って呼ばれてますけど(笑)。
(観客、大爆笑)
喜屋武:彼はクンタラですからね(笑)。で、女の子たちが「(ルイン・リーが)いないよね~」みたいなこと言ってるじゃないですか。なんで気付かないんですか?
小形:「0083」(「機動戦士ガンダム0083」)のヒロイン(ニナ・パープルトン)も(元恋人のアナベル・ガトーがヘルメットを着用していたため、ガンダム試作2号機強奪の犯人だと)わかってなかったじゃないですか、近くにいたのに。
喜屋武:あっ! そうか! なるほど! でも現実世界だったら、さっきまでここにいた男の子が…(笑)。
小形:まさかあんな格好してるとは思っていないんです(笑)。
(観客、爆笑)
喜屋武:そうか(笑)。
▽「G-レコ」は三角関係だらけ
小形:あんな変な格好でくるとは思わなかったんでしょう。(マニィの)ボーイフレンドのはずなんですけど。
喜屋武:ああ、ボーイフレンドの彼がね(笑)。
小形:でも、あの後、いろいろありますんで…。
喜屋武:ええ!? ちょっと、なになに!?
小形:マニィちゃんとマスクはいろいろあるんで…。
喜屋武:富野さんのことだから、絶対いろいろおかしくなるんですよね!
小形:ちなみに今回、全部(のキャラクターで)三角関係が発生するよう出来てますので。
(観客、大きくどよめく)
喜屋武:ちょっと! やめてくださいよ!(笑)
石脇:三角関係だらけで(笑)。
小形:だらけです(笑)。
▽「G-レコ」の男性キャラクターはみんな“リア充”!?
小形:今回の男連中はみんな“リア充”なんですよ。男1人の女2人の構図になっているんです。
喜屋武:なるほど! ベルリだって最初からノレドがいて、それにアイーダがいるんだから…。
小形:ラライヤも来ちゃってるし。
若井:でも、ラライヤはクリムがお気に入りみたいな感じになってますけど! あと、マニィですけど、エンディング観たら、髪型が違うんですよね? 短くなってますよね? 黄色い服の人!
小形:そうです。黄色い人。
▽マニィが髪を切る話
小形:あれ(髪を切るの)は第8話かな…。でも富野さんなんで、僕は髪を切るところ重要かなと思っていたんですけど…その(髪を切る)カットまったくなかったですね(笑)。いきなり(ショートに)なってましたよ。
(観客、大爆笑)
喜屋武:あはは!(笑) 富野さんの中ではすべての出来事がリアルタイムで進行しているんで、他のことが起きていても、いちいち描写しないんですよね。
小形:そのへんが…。最近「リアルロボットとか言われるのがムカつく」とか言ってるわりには、妙にリアルに作るんですよ、そういうところ。
喜屋武:会話が飛ぶんですけど、こっちで会話してるところにカメラが戻ってきたから、そこの音量が大きくなるとか。
小形:そうですね。
喜屋武:それがまさに、第2話のアイーダが捕まっているところを助けるあたりとか。
小形:そうですね。あれはあまり聞かせたくなかったんで、外にカメラを振ってるんです。
喜屋武:そうそうそう!
若井:「だって!」「…だからじゃないですか!」みたいなところでしょ?
小形:そうです。
若井:で、その話はその後出てきてない(説明されていない)ですけど…。
小形:あそこは説明のくだりだったんで、ちょっと飛ばしたいということで、演出上の都合で飛ばしたんです。
▽物語を途中から始める富野由悠季監督の演出
小形:(物語を)途中からやるんですよ、富野さん。僕、業界人じゃない知り合いに第1話を観てもらったんですけど、「あれって第3話あたりなの?」って言われましたから。
喜屋武:やっぱり!
小形:途中から(物語が)始まってますからね。
喜屋武:第1話からして途中からなんだもん、まず(笑)。
小形:「あれって第1話なの?」って言われるんです。
喜屋武:そういうところが富野さんの、富野イズムなんですよね。そこがネットでも物議を醸してますよね。若い人なんかだと「富野さんって誰?」っていう世代が出てきてますからね。
小形:そうですね。だから慣れてない方にはショックだったのかなと。ただ、TVというのは不特定多数に観られるんで。良い面もあるし悪い面もあるので。観てもらえるというのが非常に大事なので、そこは別に(気にしなくても)いいかなと。
▽ネットの反応を作品に反映させることはしない
喜屋武:いま視聴率ってあんまりあてにならないところがあって、録画率だったり、ツイッター(ツイート集計)だったりの情報をとってると思うんですけど、それを実際に作品に影響(反映)させていく可能性はあるんですか?
小形:僕の場合はやらないです。
喜屋武:やらないんですか。
小形:「G-レコ」の場合は、もうシナリオ書き終えちゃってるんで、取り入れようがないですね。
喜屋武:富野さん、バリバリ仕事しますね(笑)。
小形:今回、準備期間が長かったもんで。
▽第5話「敵はキャピタル・アーミィ」制作秘話
小形:第5話のコア・ファイターのシーンですが、初めはG-セルフにコア・ファイター付いてなかったんです。
喜屋武:ええ!?
小形:その状態でシナリオを書き終えた頃に、安田朗さんが「実はこのG-セルフ、コア・ファイターが付いているんです」と言ったら、富野さんが大激怒して(笑)。「お前はシナリオを書き終わってるのに、いまさら言うのか! ふざけるなぁ!!」って。
(観客、大爆笑)
喜屋武:朗さん、ホントに富野さんからよく怒られてますよね。
(観客、大爆笑)
石脇:天才なんですけどね。タイミングが遅い(笑)。
喜屋武:「俺が仕事が遅いから…」ってよく言ってますけど(笑)。
小形:3か月前に言ってくれればなんとかなったのに、書き終わった後に持ってきて、「コア・ファイターです」って出したデザイン画を見て、富野さん、「こんなものがお腹に入ると思ってんのか、お前は!」って言いながらシナリオ書き直して。これで書いてみると。だけど「これは本編では使わないから」と。「設定として、救命ポッドということでセリフ上は出してやるけど、これ(画)は今からじゃ使えない」って言った1か月後に第5話がああなって(笑)。
(観客、大爆笑)
喜屋武:すごーい!!
若井:「飛んじゃってーー!!」言うてましたやん!(笑)
(観客、大爆笑)
小形:嬉しそうな顔で「コア・ファイターの使い方、いま思いついた!」って(笑)。
喜屋武:カワイイ!!(笑)
若井:バリバリ、コア・ファイターの回ですもんね。
喜屋武:富野さんって、本当に朗さん好きですよね。
小形:大好きですよね、本当に。
石脇:アイデアマンを本当に上手く使いますよね、富野さんって。
喜屋武:お互いにアイデアを出し合うのが好きなんでしょうね。
小形:でも、全然言うことは聞かないですけどね(笑)。安田さんが「こうやって使ってほしい」と言ったのとは真逆をやってきたり(笑)。
喜屋武:あはは!(笑)
▽ベルリは富野由悠季監督のお孫さん!?
喜屋武:第3話のエンディングでアイーダ側に主人公たちが行ったことや、そこで普通に「俺、守りますから」とか言っちゃってることに驚いてるんですけど、なかなかあり得ない展開ですよね?
小形:「エヴァンゲリオン」以降(のロボットアニメ)だと、何かしらクヨクヨしながら、重いものを背負いながらやっていく主人公(が主流)だったんですけど、今回、富野さんがやりたいアニメで、ベルリがああなっているのは、何年か前に富野さんにお孫さんが生まれたんですけど、その影響が強くて、たぶんお孫さんにああいうふうになってもらいたいと思ってるんじゃないかと。
喜屋武:へえ~!
小形:いろいろつらいことが起こるんだけど、前向きに生きていってもらいたいというのがベルリに投影されているのかなと。
喜屋武:うん。ベルリって「ええ~~!?」って言ったと思ったら、次のカットで「はい!!」って言うんですよね(笑)。あれがかわいいというか、ホントに前向きで。みんなで肩組んで「ファイト!」とかやっちゃうキャラって、今なかなかいないですよ。そこがベルリのかわいいところですよね。
▽主人公の名前が「ベリル」が「ベルリ」に変更された理由
小形:今「ベルリ」ですけど…。
若井:「ベリル」やったんですよね!
小形:それは富野さんがどんどん間違っていって、シナリオに「ベルリ」って書き込んでるから、「これ、間違えてますよ」って言ったら、富野さんが「これ、間違えるのは名前がいけないんだ」と。「俺が間違えてるんだから、これだ」と。
若井:自分で付けた名前やのに(笑)。
小形:初め「ベリル」だったんで、慣れるまで1年かかりました、僕。
▽リアルを感じさせる富野由悠季監督の演出法
喜屋武:トイレとかも含めてリアルな描写が非常に多いと思うんですけど、あれは富野さんが“生”に対してすごく感覚が研ぎ澄まされているということなんですか?
小形:これは基本的に、富野さんが昔からやってた手法で、「機動戦士ガンダムUC」の古橋さんも同じようなことを言ってたんですけど、ガンダムってSFでリアルといっても、結局はファンタジーなんですよね。ただ、そのファンタジーをあまりにも科学的に未来なものとして描いちゃうと、自分たちが想像できる範囲じゃないと、近しいものと思えないし、トンだ話に見えちゃうのが問題で、それを解決するために生理現象を通じて何かやってるシーンとかを作ると、そこに感情移入できるんですね。
喜屋武:だから水を飲むシーンが多かったりとか。
小形:そうですそうです。
喜屋武:お手洗いのシーンとかね。
小形:(視聴者の)自分たちと同じ行動を、アニメのキャラクターがやることによって、同じように感情移入していくという手法みたいですね。
若井:「このシーンいるか!?」ってツッコミたくなるようなシーンをわざわざ入れてたりするんですよね。
小形:そうそう。
若井:ベルリをモンテーロの手から降ろすときに…。
石脇:(クリムが)意地悪してね。
若井:「すまん。ダメージを受けてたから」「嘘つけ!」みたいな。
喜屋武:記憶に残りますよね。
小形:クリムのキャラクター性にも繋がるし。
喜屋武:ベルリが風を浴びて帽子を押さえてるところとか…面倒臭いですよね?
小形:面倒臭いです。本当はやりたくないです(笑)。コクピットとかも開いてほしくないし。大変なんで(笑)。
喜屋武:でしょ! なんであんな面倒臭いこと。(作画の)みんな、富野さんに対して「う~!」って(笑)。
小形:描きにくいと思って、描いてますよ。でも、ただ棒立ちで立ってるだけとか、ただコクピットに座っているだけだと、リアリティが湧いてこない。画を観て想像してほしいんです、富野さんは。
喜屋武:富野さんって虫プロ出身でしょ?
小形:はい。
喜屋武:虫プロって、そういうことをしないでリミテッド・アニメーションを作ってきた人たちだと思うんですけど、富野さんが宮崎(駿)さんに近いことをやるっていうのは…。
小形:いや、富野さんのやろうとしているのは、宮崎さんとはまたちょっと違う、リミテッドの中でどうやろうかと思っているんで、逆に作画さんはやりにくいと思います。作画さん的には宮崎さんのほうがやりやすいと思います。
▽「G-レコ」オープニングフィルムはあれが完成形
若井:僕が気になるのは、オープニング映像なんですけど、タイトルロゴとかレオタード(アンダーウェア)姿の女性キャラとかは新画なんですけど、他はもう…劇中の画を使ってるじゃないですか…。
小形:聞いちゃいますか、それ…。
(観客、大爆笑)
喜屋武:すっごい気になってました!
小形:これはもうちゃんと公式…ツイッターとかで言わなくちゃいけないなと思っているんですけど、あれ一応、完成形なんですよ。あれは富野さんが…もしかしたら思いつかなかっただけかもしれないですけど(笑)、「これだ!」って持ってきて。「サイバーフォーミュラだ!」って言ってるんです。「は? 何を言ってるのかな」と思ったら、昔、「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」ってあったんですけど、あれの第1話のオープニングって、富野さんが本編を再編集して作ってるんですよね。「サイバーフォーミュラ」のときは時間がなくて、オープニング映像が出来てなくて、(スタッフ)みんなが困っているところに、たまたま編集室の前を通りかがった富野さんが本編映像を使って作っちゃったやつなんですけど、今回はそれを思い出して、こうしたと。
喜屋武:へえ~!!
小形:こちら的には全部(新画で)作るつもりでいたんです。だけど「今回はこれでいくから」と言って、ああなったんです。
喜屋武:なるほど!
小形:あれはやっぱり、富野さんは編集の技術には自信を持っているんで、これでいけるはずだと。今回、それも含めてなんですけど、富野さんの総決算的な…第5話のG-セルフが立ち上がるところも、ファーストガンダム(のセルフオマージュ)ですし。
だから、昔のことを全部思い出しながら、作品に込めているので、ああ、もうすぐ死ぬんだなあと(あくまで冗談っぽく)。
喜屋武:やめてくださいよ!!(笑)
(観客、大爆笑)
小形:優しくしないといけないなあと。すごく気をつけてます(笑)。
喜屋武:ぜひ優しくしてあげてください!
▽質疑応答
お客さんがアンケート用紙に書き込んだ質問にゲストが答える。
Q.1:「Gのレコンギスタ」はなぜガンダムなのに「ガンダム」というワードが大々的に入っていないのですか?
小形:一応、正式名称は「ガンダム Gのレコンギスタ」なんですけど、元々この企画自体がガンダムじゃなかったんです。で、富野さんの中でもガンダムじゃなくしたいというのが結構あったんですけど、シナリオが進んでいくうちに、もう明らかに、「G-セルフ」とか「モビルスーツ」とか…初めは「マンマシーン」って書いてあったのが、途中から「モビルスーツ」に変わって…。「G-セルフ」なんて思いっきりガンダムなんですよ。でも、そんなことやったら、なんとかエージェンシーとか、サンライズの法務部がやってくるじゃないですか(笑)。で、「どうせもう出すんだったら、腹をくくってガンダムにして、そうすると全員で応援できるから、やっていきましょうよ」と言ったら、富野さんも将来のことをすごく考えて仕事をしてる人なんで、「じゃあ、ガンダムつけていいよ」と言って、「ガンダム Gのレコンギスタ」になったんですけど、ガンダム取り外して呼んじゃうときもあることは確かですね。
喜屋武:「ガンダムつけてみんなでやろうよ」と言い出してくださったのはどなたなんですか?
小形:まあ、上の方(人間)が「そのほうがやりやすい」ということで、「企画を通すならそっちのほうがいいかな」と僕も……世に出すのが一番の目的で、あんまりそこで意固地になってもしょうがないかなと思って、そうしました。
若井:初めての感じのタイトルですもんね。「∀ガンダム」とか「ガンダムW」とか「ガンダムSEED」とかやのに、「ガンダム……Gのレコンギスタ!」って前に置いてる感じで、関係ない感じですもんね。
小形:一応ロゴ的には、Gのところに「Gundam」って入ってるんですけど、全部インクルードしてる(含める)んですね、富野さんの中では。
若井:なるほど。
Q.2:富野監督が不眠不休と聞きましたが、御体大丈夫でしょうか? 「子供に観せろ」と言われたので、子供と一緒に楽しく観ているのですが、早くもお亡くなりになるキャラが続々と…大丈夫でしょうか?
喜屋武:大丈夫でしょうか?
小形:どちらでしょうか? 御体のほうですか? お亡くなりになるほうですか?
喜屋武:富野さんの御体から。
小形:御体は元気は元気なんですけど、73歳なので、73歳であんなに元気で、モビルスーツのここが違うとか、ああじゃないとか言いながら、怒るとすごい机を叩くんですよ、あの人。
喜屋武:バンバンバンバン?
小形:手が痛くなるし。「絵コンテが大変だ」と言ってよく機嫌が悪くなるんですけど、右手が腱鞘炎で痛いと言ってるのに叩くから。そんなことやんなくても、僕ら、富野さんが「そうしろ」と言ったらそうするし(笑)。でも、あの叩くのがゲームの「エクストリームバーサス」の若者の対話に繋がっているのかなと(笑)。
(観客、大爆笑)
喜屋武・若井・石脇:あはは!!(笑)
小形:あれを見ながら「これかな」と(笑)。富野さんの影響を受けて叩く人がいるのかなと(笑)。
喜屋武:私が初めてお会いしたときも叩いてましたから(笑)。
小形:そういった意味ではお元気ですね(笑)。
喜屋武:お亡くなりになる方が多いという質問もありますが…。
小形:多いかどうかはちょっとわからないです…。「今回はバランスがいい」と言っておきましょうかね。
喜屋武:「イデオン」のようなことには…。
小形:不必要には…ないとは思いますけど、バランスよく…。
喜屋武:わかんないですよ。万が一、最終回全滅させようとかになっちゃたら…(笑)。
小形:富野さんの場合はわからないです。シナリオでそうなってても違うことになることは多々あるので。
喜屋武:そうですね。最終回全滅ルートもあると。
小形:イデオンルートもあります(笑)。
(観客、爆笑)
Q.3:「G-レコ」を子供たちに観てもらうため、昼の再放送枠を取りにいく予定はありますか? TBSは日曜14~15時が再放送枠です。
小形:最近、再放送が少なくなっちゃってて…。
喜屋武:少ないですよね。
小形:僕らは再放送世代で、夕方のアニメ枠で育った世代なので、ずっと「ルパン三世」を観てたりとか…。やっぱりそういう枠がないと寂しいなあと思うんですけど、ご時世がご時世なんで、今はそれがアニマックスとかに移っているのかなあと思ってて、今やってる枠以外にも積極的にやっていこうと思ってますし、富野さんの作品って、今の作品とは違うのは一過性では終わらないような作りにはなっているので、富野さんの中だけでなく、僕ら的にも10年ぐらいもつものとしてちゃんと作ってますんで、これをどういうタイミングかはわからないですけど、やっぱり子供がちゃんと観られる枠で流したい、というのはあります。
喜屋武:なるほど。一過性のものと10年もつものとの具体的な違いって何なんですか?
小形:もちろん、どの作品も一過性では終わりたくないと思ってやってはいるんでしょうけど、富野さんの場合はやっぱり、作りを何重にも…ミルフィーユ構造にするっていうか。皆さんが見えてるところ以上に話をちゃんと作っているんですね。
喜屋武:そうですね。設定をきちんと細部にまで作り込んだうえで、表現してますよね。
小形:そうですね。
收视率
Gレコ3話
世帯 個人.KID TEN M1 M2 M3 F1 F2 F3
2.3% 1.0 0.0 0.0 2.1 2.7 0.6 0.3 0.0 1.4
Gレコ1~2話
世帯 個人.KID TEN M1 M2 M3 F1 F2 F3
1.5% 0.7 0.0 0.0 1.3 2.0 0.4 0.7 1.1 0.0
[
本帖最后由 ガスト 于 2014-10-30 10:54 编辑 ]