戦うフル・フロンタルは美しい。
■今回はフロンタルの猛攻、戦闘シーンの連続です。バナージはユニコーンでシナンジュを迎え撃ちますが果たして?・・・シチュエーション的には、ファーストのサイド7脱出時のシャアとアムロの戦闘シーンにリンクするようなシーンです。福井氏のオマージュはどこまで続くのか?
なお、ユニ・ブロ2ページ内では、単行本1・2巻発売にあわせて、福井晴敏氏のインタビュー記事を掲載。安彦氏の描く表紙画像も載っています。また、カトキハジメによるメカ解説ページ2頁は、フロンタル搭乗機「MSN-06S SINANJU(シナンジュ)」について記載。
ガンダムエース巻頭カラーページには、ユニコーンのプラモデル化決定の特報が2ページ掲載されています。1/100スケール(MG?)でモック画像が3点、シールド&ビームマグナムの画像が1点づつ掲載。発売日はまだ未定の模様です。よく見ると角の部分が割れているので、変型機構も用意されているのかな?
01.挿絵について
■今号の安彦先生の挿絵はカラー4点(扉絵1点)、白黒2点が掲載。
■扉絵はNT-Dモードのユニコーンをバックにバナージの立ち姿。ユニコの顔が黒く塗り潰されているのは、どのような意図があるのだろうか? しかし安彦先生、結構この構図が好きなんでしょうかね? [ガンダム I] の映画パンフのイラストとか、ユニコーンのプロローグ扉絵もサイアムの立ち姿がそんな構図だったように思います。バナージのパイロットスーツはどことなくウルトラマンチックというか、なんかの特撮モノに出てきそうなカンジのデザインですね。
■2点目の挿絵は、ヘルメットを外したアンジェロ。崇拝するフロンタルの独壇場を陶酔状態に眺める姿はちょっとキモイ。
■3点目は白黒。バナージに後ろからすがりつくミコット。恋のライバルを蹴落とす為に、陰でオードリーのことをダグザにチクったり、女の武器を使ってバナージを生理的に揺さぶるところなど、なかなか姑息で強かな女。気性も激しそうでミコットはちょっと怖い・・・。
■4点目はオードリー(ミネバ)を人質にするダグザ。なんか悪役に染まってますねダグザは。
■5点目の挿絵はビームマグナムを構えるユニコーンと、コックピットのバナージ。ユニコーンは動きが感じられない静止画ですが、バナージはわりと格好よく見えます。
■6点目は1ページサイズのカラー。シナンジュと激突するNT-Dモードのユニコーン。そして、バナージとフロンタルの表情。動きも感じられて、なかなかカッコイイシーンです。
02.物語について
■今月号はフル・フロンタルがネェル・アーガマを一方的にいたぶる展開。ネェル・アーガマサイドのMSは次々と撃破され、リディも危機一髪状態。脱出を模索するダグザの姑息な手段に怒り心頭のバナージは、シナンジュを撃退するため再びユニコーンに乗り込みます。見所は戦闘シーンなんだけど、途中ダグザの人質交渉シーンが入りバナージが熱くなるところなんかも結構面白い。
■赤いMSに翻弄されるネェル・アーガマ
ネェル・アーガマ隊は3機のMSで[シナンジュ]迎撃に当たるが、圧倒的なシナンジュの機動性に翻弄される。戦慄するノーム隊長とリディ、そして距離を隔てて観戦するフロンタル親衛隊のアンジェロは、フロンタルの活躍に恍惚としている状態。
シナンジュの性能を十二分に引き出し、アーガマ隊を翻弄するフロンタルは何者なのだろうか?その戦いぶりは赤い彗星の再来と呼ばれてもおかしくないほどの実力。果たして彼の正体は何者なのか?本物のシャアなんでしょうかね?
一方、それを遠巻きに眺めるアンジェロは、死んでもいいとか呟いてて、ちょっと壊れた人間性をここで露呈。うわー、こういうキャラ苦手かも。これから先、粘着的にバナージにからんでいきそうな予感がします。
■子供を人質にするなんて、大人のやることですか!(富野的台詞)
オードリーの正体に気がついたダグザ中佐は、バナージを押しのけ彼女を連行。そしてオードリーをチクったミコットはその事をバナージに告白。すがりつくミコットを振りほどき、ダグザたちを追うバナージ。一方、戦場に流れる無線。それはオードリーを人質に戦闘中止を呼びかけるダグザの声だった。
女の執念ドロドロ展開、ライバルを排除しようとするミコットの強かなやり口、バナージの情に訴えかけるウルウル瞳を武器に使うなど、なかなかの戦略家です。そしてそれを許してしまうバナージは優しすぎるのか、単なる馬鹿なのか・・・。まあ、責めたところで時間は戻らないけどね。
そして、ようやくオードリーの正体がここで判明。読者は既に気がついているのだけれども・・・。窮地を脱するためにとった人質作戦だったが、結局フロンタルのペースで交渉は進み、状況を打破することはできなかったダグザ。
瞬時に自分のペースに相手を巻き込む話術スキルは訓練がないと誰にでもできることではない。フロンタルは相当の切れ者らしい。オットー曰く声もシャアそっくりということで、本物のシャアでなければ、いったい誰なんだ?と謎は深まるばかり。
でも、フロンタルはオードリーの身柄より、[ユニコーン]と[ラプラスの箱]のほうが大事らしい。ジオン再興には必要な人物だと思うけど、人命よりも世界をコントロールするほどの強い力を手に入れる方が重要ということか。結構冷酷な人間みたい。
一方で、人質作戦に熱くなるバナージ。交渉に失敗しダグザ中佐をはじめ、アーガマのクルーの誰も押し黙って動こうとしない状況に、「世界の重みを引き受ける覚悟がいる」と言った言葉がバナージの脳裏をよぎる。組織の歯車となって動くこと、決められた役割を演じることには優れていても、自分からは動くことも止まることもしない・・・。
それぞれの立場と責任が織り成すしがらみが、世界の重みを作り出している・・・改めてバナージはそのことを認識し、そして誰かに何かを期待するのではなく、自分自身で動くことを決意する。この主人公が決意を改めるまでの描写がわりと説得力があって面白い。周りの状況に流されてとか、意地を張ってとかだけじゃない。ちゃんと、命を懸けるだけの決意を抱かせる描写があってこそ、読者も主人公に感情移入できるんだよね。
■ユニコーン出撃
ついにノーム隊長まで逝ってしまい、残るは破損したリディのリゼル1機のみ。その危機一髪の状況で、ユニコーンが出撃する。ドサクサに紛れてアルベルトがバナージを搭乗させたのだ。
アルベルトにしてみれば、バナージは邪魔者。箱の鍵となるユニコーンをネオ・ジオンに渡すくらいなら、ユニコーンを戦わせている間にアーガマが脱出できる時間程度は稼げると踏んだのだ。ついでに戦闘でユニコーンが破壊され、バナージが死ねばという思惑も働いたと見える。
そんな様子にオードリーの気持ちも揺れる。バナージを引き止める声には、ネオ・ジオンの姫様としてではなく、一人の16歳の少女の声が響いていた。
■まだなにもできていない!
ビームマグナムを携行するユニコーン、その一撃威力は相当なもの。流れ弾がセルジ少尉のギラ・ズールをかすめただけで、グズグズに崩れて衝撃波に吹き飛ばされた。登場2話で活躍する間もなく親衛隊セルジくんご退場・・・・。あっけにとられるアンジェロ。初めて引いたトリガーに、屈辱を味わうアンジェロはバナージにブチ切れる。「お前もこの手で汚してやる」というアンジェロの心の叫びにちょっと笑う。
戦いは3対1、ユニコーンが圧倒的に不利な立場。ビームマグナムの威力は凄いが、弾数に限りがある。冷や汗ダラダラ流しながら防戦するバナージ。「当たらなければ、どうということはない!」というフロンタルの声が聞こえる。うっわ、またシャアの台詞をパクッたね?そろそろ、ファーストのセリフを借りてくるのではなく、福井氏独自のセリフを聞かせてくださいよぉ~。オマージュは行き過ぎるとただのパクリのように思える。
ユニコーンの性能と、Iフィールドを搭載した楯のおかげで、シナンジュとなんとか戦いを繰り広げるバナージ。しかし、経験不足は否めない。計算された攻撃の前になす術のないユニコーンはNT-Dモードへ。圧倒的な機動力を発揮するガンダム形態は、フロンタルを本気にさせた。
リディが応援に加わり、コンビでシナンジュを追い詰めたバナージ。しかし、単機で深追いしすぎた彼は、現れたクシャトリアに捕獲されてしまうのだった・・・。ヘルメットの中に反吐をまいて気絶する主人公は珍しい(笑)
ヘタレなまま、ネオ・ジオン側に連行されるバナージの運命は?、「また敵となるか[ガンダム]・・・!」というフロンタルのセリフは、過去にガンダムと戦った経験があるということを示しているのか?じゃあフロンタルって何者なの??
一方、オードリーを戦略的にとはいえ見捨てたフロンタルに疑念を抱くマリーダ。このあたりは、マリーダ裏切りの伏線なのか?また、ほぼ壊滅状態になったネェル・アーガマ隊のその後は?しばらくの間、オードリーやダグザ達は出ないのか・・・、指し示される[ラプラスの箱]のありかと共に、この先の展開が読めなくなってきました。9月は、いよいよ単行本も発売、GAにはユニコーンPV画像がCDROMで付録になるようです。既にyoutube、ニコニコなんかで動画見た人は多いと思いますけど、綺麗な画像と音声で見れるのは良いかも。
2007/08/26 shinji
03.登場人物ほか用語一覧
- ミネバ・ラオ・ザビ・・・ジオン公国を主導したザビ家の遺児。第一次ネオ・ジオン戦争では弱冠七歳にして玉座に収まり、ジオン再興のシンボルに奉られるが、戦後のドサクサに紛れて消息を絶っていた。
- キクマサ・・・ネェル・アーガマ 第四垂直発射装置室科員 フル・フロンタルの襲撃を受け、懸架から外れたミサイルに押しつぶされた。菊政一族と思われる(笑)
注:菊正一族とは、福井晴敏作品にたびたび登場する菊政姓を持つ登場人物を指す。現在確認されているのは終戦のローレライでは菊政一等水兵、亡国のイージス菊政克美、亡国のイージス2035-ウォーシップガンナー菊政聡美。 - パイロットスーツ[ユニコーン用]・・・高品質なガラス繊維、フレキシブル・プラスチックによる混紡の五重織りは、体のラインが分かるほどに生地を薄くすることに成功。その上に、耐G装置と生命維持装置を収めたベスト上のアーマーが装備される。
色は[ユニコーン]の機体色に合わせた純白に、朱色のライン。胸にはビスト財団の紋章たる一角獣が描かれている。
尚、このスーツには、耐G負荷を薬理的に軽減するシステムが内蔵されており、NT-D発動時にオートで作動する。浸透圧の無痛注射だが、軽いショックがある。 - ビームランチャー・・・戦艦の主砲に匹敵するメガ粒子砲。連射性能は無く、次発装填まで数十秒の充電時間を必要とする。
- ビームマグナム・・・ユニコーン専用ライフル。戦艦の主砲に匹敵する威力があり、4発分のEパックを一撃で使い切る。連射・速射性を持ち、なおランチャーに劣らぬ射程距離を誇る携行兵器。
- インテンション・オートマチック・システム・・・ユニコーンに搭載されたサイコミュがパイロットの感応波を拾い上げ、連動する機体の内骨格・フル・サイコフレームに機動を促すことで、実際に操縦するよりも速く機体を動かすことができる。
- Iフィールド・・・ミノフスキー粒子を圧縮状態に保持し、メガ粒子に偏向作用をもたらす。熱核反応炉の炉心制御に用いられる力場。ユニコーンの盾に小型のIフィールド発生器が内蔵されている。
[
本帖最后由 P 于 2007-8-28 23:22 编辑 ]